ぼくときみのことを話そう。

髪の毛ちゃん。髪の毛ちゃんことをここでは、君と呼ぼう。エメリルオイル

生まれた時からずっと一緒なのに、君のこと、全然理解できないよ。30年一緒にいるんだね。でもさ、短いほうが似合うのか、長いほうが似合うのか・・・いまだに教えてくれないよね。

君のコンディション次第で、こっちまで心配されたり、君のメンテナンス次第で、女友達にはマウント取られたりさ。ずぼらな僕には君が難しく感じてしまって仕方ないんだ・・・

君は母のものを遺伝して僕の所へやってきたらしい。どおりで、母の昔の写真のそれと、君はよく似て見える。本当は、つやつやの柔らかい子猫みたいな君がよかったんだ。寝癖もできないようなね。

でも、君はいつもそばにいてくれたね。いつも君に対して文句ばっかり言ってる僕なのに。君は何も言わずに、ずっとそこにいた。

初めて髪の毛を染めた日、濡れていると暗く見えるから、「なんだ、あんまり明るくならなかった。」なんて思っていたよ。でもさ、ドライヤーで乾かしてみたらさ、根本とかめちゃめちゃ明るいんだもん。びっくりしたけど、ちょっとだけ大人の仲間入りした気がして、嬉しかった。

初めて大人になった夜も、初めて浮気をされた日も、プロポーズされた日も、君はいつも一緒だったね。君になら、どんな僕だって見せられるんだ。

来月の結婚式が終わったら、アンナチュラルの時のさとみちゃんの髪型みしたいから、30センチくらいの君とはさようならをしようと思ってるんだ。

起こって肩あたりで跳ねたりしないでほしいんだけど、分かってくれるかな?

いつか生まれてくる僕の子にも、君の遺伝子・・・ちゃんと受け継いでおいでね。